添い寝だけのはずでしたが
「連絡ぐらいよこせよ。どこまで行ってた?」


「どこって……学園にいたよ……」


「え?」


そこで、買い物に行くと嘘をついたことを思い出した。


「ちょっとまた別の用事ができて……」


葵さまは冷たい目で私を見ている。


「そうか……また俺に隠し事か」
 

それはエマちゃんのことを言ってる?


「そ、そうじゃないよ。ごめんなさい……テストの範囲を友達に教えてもらったの」


「……は?」
 

拍子抜けしたような声を出した葵さまは、今度は完全に呆れている。


「買い物に行くって嘘ついて、そうまでして誰かと一緒にいたかったんだな」


「本当にたまたま……」


「また閉じ込められでもしたらどうする? それか、やましいことがあるから言えないんだろ」


「違……」


そこまで言って口をつぐんだ。


自分でも思うけど、全て言い訳にしか聞こえない。


悪いのは私だけど、怒っている葵さまに何を言っても無駄な気がする。


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