Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「調子どう?」
小休憩のとき、涼に話しかけられた。
「まぁまぁ。音取りズレることがあるから、そこが直ればいい。涼は?」
「俺もまぁまぁかな。スネアがもうちょっと安定すればいいんだけれど。」
1曲目のことか。難しいよな。左手が大変そうだった。よくあんな動きできるなと思う。涼に限っては初見の曲でもその場でリズムしっかり刻めるからすごいよね。
文化祭で披露する曲はどれもドラムが安定しないと形にならない。プレッシャーもあるなか、弱音を吐かずに練習している姿に脱帽する。
「すごいよな。ドラム難しいのに。」
「夏樹も前に少しやってみたことあるって言ってたよな?」
「お子様レベルだよ。」
あるっちゃあるけれど16ビートでくじけた。スピード上げられないし、手足バラバラに動かし続けるとか無理。
「なぁ、ちょっとやってみてよ。見たい!」
「嫌だよ。恥ずかしい。」
「いいからさ!」
涼に押されて急にドラムをすることに。マジで全然できないんだよなぁ。椅子に座ってスティックを構える。
わんつーっ!
♪♬っ!♪♬♪‼
久しぶりに叩いたけれどやっぱり難しい…手が…おぁ。
「もうダメ。難しい。」
「本当だ、まだまだ初心者レベルだ(笑)」
だから言っただろ。
「あ、恭也たち戻ってきた。再開するか。」