Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
それから色々話した。学校のこと、先生のこと、もちろん音楽のこともな。
特別な話でも何でもない。
日常のこと、お互いのこと。
それだけの内容だけれど、会話が途切れることはなかった。
「今日、俺らずっと一緒にいるじゃん。本当の合宿になっちゃったよ。」
そうだよ。本当は練習で終わるはずだったのに。この大嵐のせいで合宿に急変更だ。
「でも楽しかった!夏樹のこと結構知れたし!」
怜斗が嬉しそうに笑った。
「僕のこと?」
よく分からず聞き返す。すると
「雷が苦手なこととか。」
「甘党なところも!」
「この家では意外と末っ子感あったり。」
と口々に言った。そこまで言われると恥ずかしいな。そんなこと知って何になるっていうんだよ。
…でも、僕もみんなのこといつもよりは知れたかな。
涼が犬苦手なのは意外だった。あんなでっかい図体しているのに吠えられてビビるとか面白い。
恭也が野外フェス好きなのにも驚いた。インドアってイメージが強かったのに。
怜斗がダンス得意なことは知っていたけれど県選抜のチームに選ばれていたって話を聞いたときは思わず声が出た。
今日は、楽しかった。なんだろ、夏の思い出?かな。
「…もう遅いよ。そろそろお開きだ。」
照れを隠すようにそう言った。