Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
みんなで下に降りて3人は寝る準備。僕は飲み物やお菓子の片付け。すると、恭也が
「イヤホンが片方ない。」
そう言いだした。ポケットを探るが片耳しか出てこない。
「夏樹の部屋に落としたんじゃね?」
涼がそう言うと夏樹がキッチンの方から顔を出した。
「片付けしないとだから悪いけれど1人で行ってくれない?鍵は開いてる。」
「ちょっと行ってくる。」
恭也は1人で上へ上がっていった。
がちゃ。
(さっき音楽聞いた後落としたんだろうな。どこだ。)
座っていた付近を探す。
「あ、あった。」
ベッドの下に黒のワイヤレスイヤホンがあった。手を伸ばして取る。
ん?
イヤホンのすぐ近くに2つ折りにされた紙があった。
……何か書いてある。
ぺらっ……。
リスト。
8月●●日19時投稿「カラクリ時計」
9月●日20時投稿「シャウト」
9月―……。
「何これ。」
日時と曲名が書いてあるリストみたいなもの。
曲名と時間?「投稿」って何だ。
あいつ、何か動画投稿やっているって言っていたか?
夏樹がMidnightでギターやっているのは知っているし、「ナツ」ってことも知っている。このことは俺ら以外知らない。ということは、ナツとして何か他のことをしているってことか?……。
でも引っ掛かりがあるのはなぜだ。
もやもやしていると
「見つかったか?」
下から夏樹の声が聞こえた。
「………見つかった。今、戻る。」
紙をベッドの奥に押し込んで1階に降りた。電気を消して布団に入る。
「イヤホンどこにあったん?」
先に寝ていた涼が聞く。
「…ギターの近くに落ちてた。」
「見つかってよかったな。んじゃ、おやすみ~。」
胸の奥がざわざわする。
恭也は落ち着かなかった。
(夏樹は、何か俺たちに隠している。)