Dying music 〜音楽を染め上げろ〜




そこから何とか4日間のテストを乗り切った。


現文と英語はまぁまぁ。理系科目は散々。土日を挟み、今日から部活再開です。




「久しぶりの部活だー!」


ハイテンションで準備する怜斗。コイツ赤点2つも取ったとか言ってなかった?機材の準備をして各自しっかりチューニング。




♩♪♬~~!




狭い多目的ルームにそれぞれの楽器の音が鳴り響く。



「合わせよう。」


試しに一度全員で合わせてみることに。だが、



「バラッバラすぎてウケるw」



終わったあと恭也が言う。鈍っていたのも重なったのか全員の音が噛み合わなくてズレまくり。


恭也は転調忘れて涼はテンポ走りすぎ、僕は相変わらずの不調、怜斗は途中で歌詞間違えて「ミスったぁー!」って叫ぶ始末。


でもミスっても笑っているみんなを見てちょっと安心した。そうだよ、夏休み明けでテストもあって体が追いついていないんだ。これから少しずつ戻っていくものだよね。




「夏樹アイス食べないの?」

「ギターするからいらない。あとで食べる。」



家に帰ったあとご飯を食べて課題を終わらせたらすぐに部屋に籠った。

早くいつもの調子に戻したい。

コンディションを整えないとステージにも上がれないからな。

バンドさんのサポートもあるからこれ以上迷惑かけられない。



超基本のメジャーコードとマイナーコードから確認した。そこからパワーコードやって奏法も復習。

それが終わったら何曲か弾いてみる。ヘッドフォンを通してサウンドを耳に流し込む。





「夏樹~お風呂!」



下から呼ばれる。


もう10時だ。7時から始めたから……3時間ノンストップだった。時間経つの早くない?



「今行く!」



風呂に入りながら今日の練習を振り返る。

さっきはよかった。

しっかり指も動いたし焦りもなかった。

コードの押さえも正確。

この調子だ。

この感じを忘れないように。

次には絶対にもとに戻っているはずだ。







って思っていたのに。


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