Dying music 〜音楽を染め上げろ〜


家族で行った夏フェスでロックバンドの演奏を聞いた。かっこいいと思った。それがきっかけで音楽にハマって、小6のときにギターを始めた。

中学生になると、涼がドラムを、あとから怜斗がベースを始めた。たまに3人でセッションなんかもした。雑音みたいな演奏だったのが、次第に曲になっていって楽しかった。



「なぁ、俺軽音楽部を作ろうと思うんだけど。」



オリエンテーションが終わった日、急に電話してきた涼。コイツはもとから行動力のあるタイプだったが、部活を作るという話にはさすがに驚いた。


「俺、お前らとバンドとして演奏したいんだよね。だから部活作って一緒にやりたい。」

「…バンドなら、部活でなくてもいいんじゃないか?」



部活を作るって…わざわざ部活としてやることなのか?と疑問に思った。でも涼は、



「一緒に音楽をやる仲間を増やしたい。部活にすれば入りやすいし、興味を持ってくれる人もいるだろうからさ。」



このときの涼の声は本気だった。だから、承諾した。


それからあいつに出会った。


如月夏樹。


第一印象で感じた雰囲気は「一匹狼」。誰も寄せ付けないオーラがある。

Midnightで夏樹の演奏を聞いたときは雷に打たれたような感覚だった。同年代とは思えない演奏で、プロでも難しいような曲を難なくこなす。その圧巻のステージに言葉が出なかった。


夏樹が加わったとき不安だった。何も知らない、ついこの間話したばかりの人間だ。そもそも勧誘だって最初から乗り気じゃなかった。よく知りもしないやつを急にバンドに入れるなんてどうかしてる、って。




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