Dying music 〜音楽を染め上げろ〜

夏樹の正体




バスの中、この揺れが眠気を倍増させるんだよね。



♪ピコん。



でもそれはスマホの通知音によって消えた。師匠からだ。メッセージを確認する。



――『今日 CAN。Cのギターコラボ。19時~19時半。」


今日の夜のスケジュールだ。CAN。Cさんね。このバンド、ベースとドラム安定しているからいいよね。曲は強めロックだからギターはレスポールだ。


メッセージには続きがあった。



――『20時半からお前の出番。20分。プラベ。Aスタ確保済み。』



え、やった。出番だ。

めちゃくちゃ久しぶりの出番。嬉しさもあってすぐに返信した。



――『了解です。Aスタ1時間前から入れさせてください。』

  『分かった。何歌う?』



あ、曲決めないと。20分ならギリ3曲だよな。歌いたいやつ、今日の気分。……ロック系歌いたいな。よし、決めた。





――『クラッシュエンド、HOW ARE YOU,FirstKingでお願いします。』

  『HOWARE YOUって先週リリースされたばかりだぞ?』

  『覚えました。』

  『喉は?』




喉?




――『どうして?』

  『クラッシュエンドで声量使ってそのあとにバラード系、最後にまたアップテンポってキツくねぇか?』


もしかして心配してくれてる感じ?



――『大丈夫ですよ。』



そのあと既読がついただけで返事は来なかった。久しぶりだからな。少し無理してもいいよね。



< 14 / 195 >

この作品をシェア

pagetop