Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
翌日の昼休み、一件のメッセージが来た。
ー「文化祭のこと、2人で話がしたい。怜斗たちは呼んでいないからHR終わったら部室来て。」
差出人は涼。
多分、文化祭に出るのかどうか、恭也とどうするつもりなのか聞くんだろう。…まだ涼相手だ。変に誤魔化さないで話せばいい。
HRのあと約束通り多目的ルームに行った。
のだが、
…にしても遅い。時間、もう10分過ぎてるぞ。あいつ今日日直だったっけ?
ガラッ。
戸が開く音がして振り向いた。
「涼、遅い…―」
は?
そこにいたのは涼ではなく、恭也。驚いた様子でこちらを見る。俺も固まって動けない。恭也はすぐに帰ろうとした。のだが、
がらっ!ガチャ。
………………がちゃ?
「は?」
恭也が戸に手をかけた。開かない。
「どうなってんだよ!おい!」
扉を叩いて叫ぶ恭也。
鍵かけられた。この部屋、内側からは開かない。…うっわこれ閉じ込められたやつ?恭也は何度か開けようと試みたが、そのあとすぐに諦めた。
俺が窓際の机の上。恭也はロッカー側。お互いが一番遠い場所に座った。
何この状況。喧嘩した相手と密室に閉じ込められるって何かの漫画?ここに呼んだのって涼だよな。首謀は怜斗と涼だろ。あいつらハメたな。それよりも……
気まずすぎる。チラッと恭也の方を向く。……スマホをいじっているだけ。目なんか合わせない。今涼たちに連絡しても未読無視キメられるだけなんだろうな。
無言のまま数十分が過ぎた。
一言も話さない。目線も合わない。
気まずいまま時間が流れる。
分かってるんだよなぁ、このままじゃいけないってことは。
でもどう切り出せばいいのか分かんないだもん。
本当に嫌われてるのかもしれないのに。
あーー、モヤモヤする。
でも、涼たちがせっかくチャンスくれたんだ、謝るなら今しかない。
ひどいこと言ったこと、暴言吐いたこと。
これはしっかり謝るべきだ。
腹くくれ、自分。
すぅぅぅぅ――――……
「きょ――」
「この間ごめん。」