Dying music 〜音楽を染め上げろ〜

「おーい、仲直りは終わったかぁ～？」




声が聞こえ、扉の方を向く。そこには鍵を指で回しながらこちらを覗く2人の姿。あいつら……。



「お前らいくら何でも鍵かけて閉じ込めるのはないだろ。」



入ってきた２人に呆れた様子で恭也が言う。


「だって強制的に話させるにはこれしかないって涼が。」


…発案者は涼かよ。


「んで、ちゃんと話したか？」


涼が腕を組みながら聞く。そして、



「俺ら怒ってる。」



と、少しキレ気味で言ってきた。そりゃそうだよね。怒って当然。迷惑かけて、時間奪って、雰囲気乱して。



「喧嘩してごめん。」



そう言うが、



「喧嘩したことに怒っているわけじゃねぇよ。」



と、怜斗に返される。涼が俺らに近づいた。



「お前らは、人を頼りなさすぎ。それに怒ってる。何でも自分で解決しようとして俺らに相談すらしない。一人で抱え込む。頭はいいのに何でそういうところだけバカなんだよ？」


バカ。ド直球食らった。


「俺らのこと頼ってよ。頼りないかもだけど、何か困っていることや悩んでいることがあったら話してほしいよ。」


怜斗がそう言う。


「ドラムもベースも大事。でも、演奏に華をつけているのはお前らギターだ。互いに足りないところを補いながら弾いてる。聞いてりゃわかるよ。


誰か一人でも欠けたらダメなんだ。4人でAMITIEなんだから。最高のバンドなんだから。」




ドラムだけ、ベースだけ、ギターだけ。

それでも演奏はできるかもしれない。

でも、1つになってこそがバンドってものなんだ。

音を一から作り出す。

僕らはそのメンバーだ。





「今回はホントにごめんなさい。」

「俺も悪かった。」



もう一度２人で謝った。




「はぁ～～～～っ！やっと緊張解けたぁ！このまま解散とかだったらどうしようってずっと不安だったんだからな！」

「何日間も無視しやがってよぉ～！マジで今度何か奢れよ⁉」



2人が口々に言う。怜斗めっちゃ涙目じゃん。…心配かけさせたな。今度お詫びしないと。



「よし、この件は終わり！明日から切り替えるぞ！」


涼がパンっと手を叩いた。






恭也からちゃんと聞けて、伝えられた。



でも、もう一つある。

話さないといけないこと。

みんなが引っかかっていること。




「あのさ、このあと、時間ある？」




話すべきことはもう一つ。

自分のこと。

今まで隠していたこと。










「Cyanのことと僕のこと、しっかりみんなに話したい。」