Dying music 〜音楽を染め上げろ〜

下に降りると今回一緒するバンド、CAN。Cさんたちにばったり会った。



「ナツくん！」



リーダーの人が手を振っている。


「お久しぶりです。今回もありがとうございます。」

「いえいえ！ナツくんの演奏ピカイチだからさ！今回も頼むよ！」



あぁ、まだ僕がMidnightで何やっているか言っていなかったね。


僕はMidnightで「ナツ」という名前でフリーのギタリストをしている。バンドさんが人数不足のときに代理で弾いたり、コラボをする。時間があったら不定期出演でソロステージにも立って演奏もしているんだ。

CAN。Cさんは大学生の男女５人組バンド。前にギターの人が体調崩したときに代理で演奏したことがきっかけで今では普通にコラボを頼まれる。打ち合わせとリハを終えてステージへ向かう。今回は全４曲の内コラボは１曲。




♪～～♬♪～♩--




エレキギターの音がアンプを通して鳴り響く。

他の音と混ざって一つの音になる。

お客さんの歓声や拍手もまたメロディーとなる。

このステージでしか感じられない一体感。

ギターを弾くことが楽しい。

夢中になれる。



――「ありがとうございましたー！」



あっつ。熱量やば。

レスポールギターって他のギターと比べてと重たいんだよね。１曲だけでも結構疲れる。肩が痛い。僕の担当は１曲だけだから終わったらステージを降りて裏で待機。裏からCAN。Cさんの演奏が見える。


♩♩～♪～♬♪--ー


ボーカルの人もギターの人もドラムの人もみんなが一つになって演奏している。互いが互いを信用して音を任せている。みんなで曲を作り上げるのがバンド。



すごいな……






「いやぁよかった！今回もありがとね！」


ステージの後バンドさんにそう言われる。


「毎回思うけれどほんと上手よね！将来はプロ？」

「またお願いね！」


CAN。Cさんは終わったあと毎回褒めてくれるから嬉しいんだ。見送ったあと時計に目を向ける。



……あと１時間。時間押してるな。ちょ～っと急がないといけないか？