Dying music 〜音楽を染め上げろ〜



部室に着くなり涼と怜斗は共鳴するかのように声を上げて騒ぎ出した。


「最高マジで!あぁ~っ!楽しかったぁ!」

「めっちゃ盛り上がってくれたよな⁉あんなに拍手もらえるなんて思ってなかったよ!」



そうだよな。アンコールまでもらっちゃったんだから。会場のノリがよかったのも成功した一つだ。合いの手とか手拍子求めるとちゃんと返してくれたんだよ。まだ、余韻がすごい。

的確なリズムキープ、音を飾るギター、高音の張り上げと綺麗なビブラート。そこに合わさった観客のテンション。すべてが今までで一番よかった。半分諦めかけていたのに、残り1週間でここまで仕上げることができた。改めて達成感が半端ない。




「夏樹!恭也!お前らマジっで最高!何なんだあれ!度肝抜かれたわ!ほんっとサイコーのツインギターだよ!」

「最後のギュイーン!ってやつあれどうやったん!?最終合わせでもやってなかったじゃん!」


怜斗に頭をワッシャワシャ犬のように撫でられる恭也。


「…っ………ギア上がっていたからできると思って(笑)」


ソロの部分はあらかじめいくつかプランを考えていて、その中から選んで演奏しようってことにしていた。プランA,Bがあって練習段階では本番は一番上手くできていたBをやろうって話していたんだ。けれど恭也が、「最後のやつAに変えたい。」って急に変更を提案してきたから直前で変えたんだ。マジであれやんのか?って焦ったけれど何とか成功した。
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