Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「お待たせ~っ!」
荷物を持ちながらハイテンションで入ってくる2人。遅すぎないか。もう時計5時半回るんだぞ。早く終われば5時には帰れると思っていたのに。理由を聞いみたら、案の定他の部活の人たちと駄弁っていただけだってさ。ふざけんな。
「俺ら結構評判いいみたいだぜ?先生たちにも軽音楽部すごいなって!クラスの奴からも大好評よ!」
軽音部やっぱり大好評らしい。HR終了後、担任から聞いた話だと、1年生であんなにレベルが高い演奏ができることに驚いたって。学校の文化祭広報にも載るとか言っていたな。やばぁ。軽音楽部、清条高校の看板になっちゃったりして。……嬉しい。僕たちの演奏に盛り上がってくれたんだ。
「みんなでメシ食いに行こうぜ。打ち上げ!」
帰る準備が終わり、涼がみんなを誘う。ご飯…食べに行きたい。今日は疲れてお腹すいた。昼食も緊張からかしっかり食べられなかったし。
「駅前のファミレスは?俺ハンバーグ食いたい。」
「俺もドリア食べたい~。」
涼と怜斗の様子を後ろから見ていた僕ら2人。目を見合わせる。考えていることは一緒なんだよなぁ。うん。
「………今回は俺らが奢る。」
「えっ!」
恭也の発言に驚く怜斗。
「喧嘩しちゃったお詫び。」
僕もそう付け加える。だって何か奢らないとこっちも示しがつかないというかさ。色々迷惑かけたの、僕らだって結構反省しているんだよ?この期間は2人に頭上がらなかったし。お金に関しては………Midnightの手伝い頑張ればいいか。
帰り道、後ろを振り返ると目に入る体育館。まだ音が鳴り響いているみたい。この経験は多分、一生の思い出に残るんだろうな。
………来年もまた立とう。
こうして僕らの文化祭は幕を閉じた。