Dying music 〜音楽を染め上げろ〜


家に帰って真っすぐにお風呂場へ向かった。ラベンダーの香りがする入浴剤を入れていつもより長湯した。あ~眠たい。今日は体力削ったからなぁ。楽しかったけど疲れたんだもん。明日は休みだからお昼まで寝てよう。お疲れ様会ってことらしく、麗華ねぇもスイーツ買ってきてくれていた。


寝る前、スマホを見ると通知が山のように来ていた。


「うっわ、何この数。」


急いでLINEを開くと、今日撮った写真や動画の数々。店番の子たちと猫のポーズをして撮った写真、彩音が迷路で迷って慌てている動画。それを見て大笑いする色葉。

書道パフォーマンスの作品も。色葉が袴履いているとき取ったやつだ。可愛い。廊下でギャルピースして撮った写真。

クラスLINEには…3組全体写真。待って、先生に猫耳つけたの誰だ。全力水島君もいる。てか、これ盗撮じゃないのか。あ、AMITIEの方からも大量。




「わぁ…ぁ。」




ステージに立っている姿。これ、内田先生が撮ってくれたやつだ。めっちゃきれい。みんなアーティストみたいでカッケーね。動画もある。怜斗の…アンコール来たときのMCしているところだ。声震えてる(笑)あれは完全イレギュラー事態だったからね。頑張ったんだなぁ。


よく耳を澄ますと内田先生の焦る声も聞こえる。あ、コックピットの動画。どの動画よりも真っ先にその動画を再生した。


最後のソロ、恭也と僕すごくない⁉何度も巻き戻してその箇所を見た。ぴったりだ。うわぁ、自主練した甲斐あってよかったぁ~。どの写真も動画も全員笑顔。僕もちゃんと笑っている。


だって本当に楽しかったもん。あんなに心一つにして演奏できたんだもん。最高だよ。なんやかんやあったけれど、最終的には大成功で文化祭を終えることができた。


楽しかった。嬉しかった。観客が盛り上がってくれて、僕らも楽しめて。みんなが―自分の仲間がすごいって言わることがとても誇らしかった。



ピロン。



―『マジで最高の文化祭だった。みんなで一緒にできたことがめちゃくちゃ嬉しい!これからもよろしくな!』

―『お疲れ様でした。楽しかった。』

―『このメンバーでバンドできて楽しかった!これからもがんばろ!』



次々に送られてくるメッセージ。これ、僕も一言書くべきだよな。ん~、なんて書こう。




―『楽しかった__|』





………………いや、……






一度打ち込んだ文字を消した。…………これでいいや。もう一度メッセージを打ち込みそのまま送った。
























―『みんな最高最強の仲間。ありがとう。』
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