Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「お前それどういうこと?」
恭也が聞く。
「前見たときは分からなかったけど確かにそいつだった。髪も同じだしギターケース背負ってた。」
「どこで見たんだ?」
「白河駅。ダンスレッスンの帰りに何度か。いつも南口行くんだよ。よく見かけんなーって。」
……南口?
白河駅の南口といえば居酒屋やバー、クラブなんかが立ち並ぶ繁華街だ。昼間ならまだ分かるが、高校生が夜に南口に行く理由はなんだ。まさか、夜の商売なのか。
「マジか。さすがに南口方面行く勇気はねぇな。」
涼がうーん、と唸る。
「つーかさ、涼がそこまであいつにこだわるのは何で?ギターが弾けるから?」
怜斗が尋ねてきた。理由、理由か。
「単純に如月くんと一緒にバンドしたいからかな。」
随分真面目な答えに
「それってどういう?」
恭也がさらに聞く。
「この間のギターの演奏が頭から離れなくて。技術はもちろん、アレンジも加えながらオリジナリティがある弾き方をする。あの音と俺らの音が合わさったらどれだけすっごい演奏になるのかなって。多分だけど、彼一人が入るだけでめっちゃ楽しい演奏ができると思うんだよ。」
「はぁ~っ」
一通り聞くと怜斗がため息をついて話した。
「俺は正直、あいつのこと何も知らないし感じのいいやつだとも思わない。でも、涼がそこまで言うならできる限り協力はするよ。」
「…まぁ、気が済むまで勧誘トライしてみるのはいいんじゃないか?」
恭也もダルそうではあるがそういった。
「ありがとな。」