Dying music 〜音楽を染め上げろ〜



突然の勧誘から早1,2週間。


あの3人、あのあとから毎回のように保健室に来るようになった。しかも先生がいないとき見計らってくるんだぞ。どんなに追っ払ったって諦めようとしない。マジで意味不明。あんまりにもしつこいから少しキツめの言葉で拒否ったけど、どうせ来週も来るんだろう。


そんで今日は金曜日。祝日で学校が休みだから家で課題をする。



「麗華ねぇ、ココわかんない。」

「んー?どこだ~」



麗華ねぇは大学で英文学科だから英語や語学に関しては先生並みのレベル。英語の長文を手伝ってもらいながら片付ける。蓮は部活の午後練習でさっき出て行った。試合近いんだってさ。




「麗華ねぇ、コーヒー淹れようか?」

「いる~!ブラックお願い~!」



ブラックなんてよく飲めるなって思う。あんなに苦いのに。僕は抹茶ラテだよ。コーヒーを入れてついでにクッキーも添えて持っていく。



「夏樹はこれから作業?」

「うん。録った音源の。」

「たまには休憩しなよ~?夏樹これ以上目悪くなったらコンタクトだよ。」




え、コンタクト。それは絶対嫌だな…。目に何か入れるなんて恐ろしいもん。ブルーライトカットの眼鏡でも買おうかな。




「はぁい。」




麗華ねぇに返事をしたあと抹茶ラテを片手に自室へ向かった。




さて、やるか。



クローゼットの中から機械を取り出して作業環境を整える。



この部屋にある機材はほとんど中古品。新品なのは高校入学祝いで貰ったパソコンくらいよ?だってコイツら実際買うとバカ高いんだよ。とてもじゃないけれど高校生に買えた値段じゃない。今のところ機材はしっかり動くから問題はない。



作業用ツールからソフトを選択する。この編集ソフトも長い付き合いだ。アップデートはしているけれどかれこれ約4年は使ってる。



あとはコネクタをさして、ヘッドフォン繋いで……。準備完了。先週と先々週に録音したのが2つ。1曲は半分までやったから2番から。







「歌ってみた」の作り方は……実はハッキリ言って大変なんだよな。





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