Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
帰り道でも家に帰っても今日言われた言葉が頭に残っている。
音楽をすることは確かに楽しい。自分の中に何らかの突っかかりがあるのは事実だ。それをなぜあいつらが……。僕の居場所って…。悶々として作業が手につかない。
新しいコミュニティに足を踏み入れることがとても怖い。
裏切られることを、離れていくことを、独りになることを。
こっちは一度経験しているんだ。トラウマってものはそう簡単には消えない。誰かをまた信じたら僕は変われる?
あいつらの音はどんな感じなんだろう。
どんな表現をするんだろう。
あの中でやっていけるか?
曲の好みや考えが合わなかったら?
音楽性がズレていたら?
また何か言われたら?
……正体が、バレたら?
好奇心と恐怖心が葛藤する。怖い。急に学校行って変な目で見られたらどうしよう。入学式以降ほんの数回しか行っていないのに。誰だって思われる。ヒソヒソ何か言われるんじゃないか?何ならいっそ……―
―――――「俺らがその音の居場所をつくるから。」
でも、
もしチャンスがあるのならば。
少しでも音が合わさる快感を味わうことができるのならば――
………………
ー『もしもし如月です。』
そしてもう一つ。
「麗華ねぇ、ちょっとお願いがある。」
「?どした?」