Dying music 〜音楽を染め上げろ〜


一旦練習を中断してみんなでミーティングをすることに。



「曲、決めちゃおう。何系がいい?」

「ベターなのはJPOPだよな。」

「同年代だから、ちょっと攻めるのもあり。」



意見を出し合いながら曲を見つける。


「『地上線上の彼方。』は?」


『地上線上の彼方。』4人組バンド、クラウドの曲だ。CMソングにも起用されている曲だから知らないってことはないだろう。



「今流行りだし、いいな。みんなは弾けるか?」

「「「弾ける」」」



クラウドは4人全員が好きなバンド。大体の曲は知っているし、曲によっては比較的演奏しやすいものもある。



「じゃあもう一曲は、」

「はい!」



怜斗が勢いよく手を挙げた。





「『カミナリロジック』がいい!」




え、カミナリロジックって。こいつボカロ聞くの?意外だ。


「ロック調だし盛り上がるな!」

「他と被らなさそうでいいね。」



怜斗の発言に特別疑問も持たずに進める様子を見て戸惑った。……みんな知ってる系の人たち?



「みんなってボカロ聞くの?」



気になって聞いてみた。


「おお、聞くよ!何なら俺は歌い手さんとか踊り手さんめっちゃ好き!」





あ、これやばいやつだ。心臓の鼓動が速くなった。



「俺も聞く。涼なんかウォームアップでボカロよく叩くもんな。」

「練習用に聞いてたらハマっちゃってさ。怜斗は誰が好きなんだっけ?」

「安定にサクトさんでしょ。あの人はマジで神。あと、RUMINAさんと、るぅさんも聞くし~。あとはー







Cyanもよく聞く!」



バクん!



……変な汗かいてきた。涼も会話に乗ってきた。



「Cyanって歌い手、夏樹知ってる?」

「へっ?あ、うん。聞いたことあるよ。」



動揺しすぎて返事がおかしくなった。



「同じ高校生とは思えないよな。」

「今じゃ高校生歌い手たくさんいるよね。」

「でも、その中でずば抜けてんのはCyanとコードだろ。どっちも人気すごいし、」


「………ねぇ、さっさと決めようよ。」



話が盛り上がる前に遮った。これ以上話されると、まずい。


「わりぃ。じゃあカミナリロジックでいいか?」






………RUMINAさんって結構マイナーだから歌い手界隈詳しい人じゃないと知らないんだけど。それにコードって歌い手も知ってるならよほど歌い手好きなんだな。

RUMINAさんは女性歌い手。声は可愛らしいんだけどかっこいい歌い方で多彩な歌声が人気。コードって歌い手は僕と同じ、高校生の歌い手。低音ハスキーで、色っぽさと透明感がある歌声の持ち主。同世代ってことでよく比較されるんだよな。


色葉は音楽好きだけど歌い手に関してはさほど詳しくないし、彩音はKPOPしか聞かない。

話しているときと歌っているときとでは声質が大分違うから、みんなの前で歌わなければ問題ないかな………。
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