Dying music 〜音楽を染め上げろ〜



次の部活から本格的に練習を始めた。

今回は自主練。自分のパートを練習する。分からなくなったらその都度みんなで教え合う。いいところまで行ったら合わせてみる。



「夏樹、ここどうやるの?」

「ここは、~」



練習しながら怜斗のベースのサポートをする。怜斗、弾けるは弾けるんだけれどやっぱり基礎ができていなくて音が正確に出ないんだ。土台からしっかり教えて、曲に合わせて難易度調整していくことがいいのかなと思う。


ボーカルの方、歌に関しては問題なかった。試しにこの間歌ってもらったのだが、まぁよく通る声で。音程も緩急も聞きづらいところもなかった。

みんな経験者だからなのか、何だかんだ雰囲気はいい。ごちゃつくような感じは見受けられない。「地上線上の彼方。」はみんな一度弾いたことがあったからサビまではすぐに完成した。



「ちょっと合わせてみよう。」



涼がカウントをとり、弾き始めた。




♪♬♪♪………♬♪~~…



「はじめて合わせたにしちゃ結構よくね!?」

「音意外と合ってたな。」


確かに案外よかった。初回だからもっと崩れると思ってたのに。でも改善点はまだまだあるかな。


「夏樹!」


涼がこっちを向いた。


「講評頼む。」



講評?何で。


「そういうのは部長がするもんじゃないの?」

「俺なんかより夏樹の方が上手いだろ。専門的指導は任せたい。」


うーん、急に言われてもな。少し考えてから話し出した。


「………よかったと思う。初めて合わせたにしては上出来。」


涼と怜斗が嬉しそうに笑った。



「個人的指導としては、怜斗はやっぱりベースがズレるときがある。…ボーカルに釣られてんのかな。早取りに注意。恭也はすごい音が安定していてるからこっちも弾きやすい。でももうちょっと強弱欲しい。涼はリズムとるのが上手い。力み過ぎるところあるからパートによってはちょっと弱めに弾いてもいいと思う。」



「以上です。」


ちょっと言い過ぎたかなとも思い、一旦締めた。



今日はこれで終わり。楽器片付けて施錠。


久しぶりに複数人で演奏した。いつもやっているコラボとかサポートとはまた違う感覚だった。みんな同い年だからか?だが、欠けている部分や間違っている箇所はまだまだある。本番までにもっと完成度上げれるように頑張ろう。


< 43 / 190 >

この作品をシェア

pagetop