Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「おーい、みんな順調?」
入ってきたのは内田先生。
「これ運営さんから送られてきていて。」
そういって用紙を差し出した。
「何ですかこれ。」
「チームシート。本番前に提出するものなんだけれど、君たちのバンド名って何かな?」
内田先生は4人の顔を見た。
「清条高校軽音楽部じゃダメなんですか?」
恭也が尋ねる。
「俺も最初そうなのかなって連絡してみたんだけれど、例年出る学校はみんな自分たちのバンド名だって言われて。」
「何も考えてないっすよ。」
そのまま学校名でいいと思っていたためバンド名なんか考えてもいなかった。すると内田先生は
「これ明日までに考えて提出してくれるかな?」
とんでもないことを言い出した。
「明日!?」
「急で申し訳ない……」
明日って、急すぎる。でも出さないと出れない。
「分かりました。」
先生が出て行ったあと涼は用紙を見つめて頭をかいた。
「バンド名~~~?どうすればいいんだ。」
バンド名なんか決め方分からん。みんなどうやって決めているんだ。
「名前頭文字繋げる?」
「R2つとKとNでどん単語ができるんだよ。」
怜斗の提案に突っ込む恭也。うーん、どうしたものか。これから使っていくんだから適当に考えるわけにもいかない。何かしら意味のある名前にしたい。
「願掛けとか、歌詞とかでもいいんじゃないか。」
歌詞、歌詞ねぇ~。
「あっ。」
涼が声を上げた。
「アミティエ……」
3人の頭に?マークが浮かぶ。
「ジュリー・コイルドって人知ってる?」
「名前は聞いたことあるけれど、曲は知らない。」
恭也が答える。
「アメリカの歌手なんだ。メッセージ性の高い曲が多いんだけれど。」
涼が曲を聞かせる。
「その中の曲の一つが『AMITIE』。フランス語でー
友情。」
3人で涼の顔を見る。
「夏樹と友達になれた。この4人の音楽が結びついて新しい音ができている。みんなとはこれからも一緒に演奏したいから……どう?」
……しばらく沈黙が続いた後、
「フランス語で響きもかっこいいしいいと思う!」
「カッコつけすぎだけどいいんじゃない?」
「どストレートすぎw涼らしいなw」
夏樹と恭也がからかった。
「こ、こういうのはカッコつけてナンボだろっ!」
今更恥ずかしくなったのか、顔を赤らめて騒ぐ涼。
「でも、決まったね。」
AMITIE≪アミティエ≫