Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
お前は誰だ?
ステージ当日。
マスターから言われたのは裏口から入ること、そのまま地下の控室に直行すること。それからいつもつけている仮面は店の中では絶対に外さないこと。万が一のことを考えて入店したらすぐに着用。約束通り、裏口に入り、指定された控室へ入った。すると、コンコンとノックが鳴った。
「ナツ、久しぶりだな!」
ロングヘアの髪を後ろで結び、左腕にはタトゥー。この人がマスター。本名は知らない。初めて会った時からマスターって呼んでる。
「お久しぶりです。」
「今日はありがとうな。すぐに準備してもらって。」
そう。今回、準備期間が短かった。連絡を受けてから今日まで1週間と3日。というか、この1か月の間ずっとバタバタだ。体育祭が終わってすぐに新曲投稿、そのあとにバンドフェス。つい先日にはバンドステージの見学、それで今日。タイトすぎ。
「長ちゃんから聞いているか?その~、あれだ。依頼主のこととか……」
「シュートという人からですよね。」
「本当に悪いな。俺もいつお前のことを知ったのか分からなくてよ。理由聞いてもCyanの歌を聞いてからっていって聞かねぇんだ。すまん。」
マスターはこんな見た目だが、性格は超絶優しい。ニコニコしていて師匠とは正反対。これでよく馬が合うなと思う。若い頃は色んなところで演奏していたんだって。それにしても、マスターも本当に知らないのか。
「あの、シュートという人はどちらに?」
すぐにシュートという人物を確認したかった。
「あいつなら……」
「もしかしてCyan?」