Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
一通り話が終わったあと、駅まで一緒に行こう、と帰り支度を促した。
「じゃあきーめた!」
突然ゆずなは大きい声を出すくるっと僕の方を見た。
「あたし、ナツと同じ高校行く!」
おおおお!?これまたスゲェ宣言してきたぞ!?
「マジで言ってんの?つーかお前偏差値いくつだよ?まず模試受けたことあんのか?」
「前受けたときは38だったよ。」
そんな自身満々に言う数字じゃないって。これは相当勉強しないと入れない。
「うちの高校偏差値58だぞ?」
「いけるって!ナツも最初は足りていなかったじゃん!」
さすがに50はあったわ。口を半開きのままゆずなを見る。ゆずなは「はいはい!」と手を叩き、
「まーいいから!些細なきっかけで一歩の勇気は出るんでしょ!」
元気にそういった。そうだね。きっかけは何でもいいんだよな。それでやる気になってくれるのならいいか。
「分かったよ。頑張ってね。」
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後日、ゆずなから衝撃的な写真が送られてきた。
「ほぁっ!?」
ええぇ…、ど、どうしたんだよ。
送られてきたのは髪を黒く染め、ボブカットにそろえたゆずなの自撮り。メイクもすっぴん風にして。別人じゃないか。
ー『どうしたんだよ。』
ー『言ったじゃん。マジで勉強するって。』
ガチだったのか。ここまで早く行動に移すとは思わなかったよ。
♩ピコん。
ー『あのあとお母さんと話したの。そしたら応援してくれるって!そのあと一緒にご飯食べてさ。久しぶりにお母さんと話せて嬉しかったんだ。』
ー『ナツ、あたし頑張るから!ありがと!』
…………よかった。ちょっと安心した。