Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「また来てくれてありがとう。」
今日はマスターのところで2回目のステージ。マスターからまた来てほしいと言われ、出ることにした。
そして目的はもう一つ。
「そんな警戒しないでよ(笑)」
いつのもテンションで話してくるシュート。もう一つの目的はシュートの正体を確かめること。なぜ、僕に近づいて来たのか、どうしてここで歌わせたのか。
「あの、」
2人になったタイミング。僕が問いかける。
「あなたは俺のどこまでを知っていますか?」
シュートは何も答えない。じっと僕を見るだけ。すると、
――「今日、分かると思うよ。」
静かな声でそう言った。
…これは黒だな。何となく。想像はついた。
すぅぅーーーーっ。落ち着かせるために深呼吸をする。今はステージに集中しないと。
―「今日も頼むぞー!」
ー「Cyan―!」
客は俺を認めてくれたのか、ステージに上がると歓声が聞こえてきた。ありがたいけれど、シュートの言動が気になってもやもやする。…あー、ダメダメ。今は集中だろ。
…………集中。
今日は静かな気分だったから激しい曲避けた。前にMidnightでも歌った「HOW ARE YOU」、そしてお気に入りのボカロの計2曲。ギターはテレキャス。
♪♬♪♪~~………
「HOW ARE YOU」は前よりも無理なく高音が出るようになった。もっと、絞る感じで…。
♬~~♪♬♪ーーーー……
「ありがとうございました。」
何事もなくステージを終えた、かと思った。
「……いいねぇ。」
「おい、シュート!」
急にマスターの声が聞こえ、カウンター脇を見る。するとマスターの制止を振り切り、シュートがステージに上がってきた。
え、急に何。そばにあったマイクを手に取ると、とんでもないことを言い出した。
「今から即興コラボしまーす!」