Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
いつものようにMidnightに行ったがこの日もナツの演奏を聞くことができなかった。
本当にランダムなのか。帰ろうと思い、通路に入ったときだ。扉の向こう側から歌声が聞こえた。
ー「ーーー♩」
え?
この声!
ガチャ。
戸を開けようとしたが鍵がかかって入れない。
「おい、兄ちゃん。そこはプライベートライブの部屋だぜ。」
後ろから客に話しかけられる。
「ぷ、ぷらいべーと…?」
「この店の店長が許可した人間しか入れないライブだ。そこはロックあるから番号入れないと無理だぞ。」
嘘だろ、入れないのかよ。
ウェット感がある中性ボイス。
歌詞1つ一つが丁寧で、感情がこもっている歌い方。
低音域の音が心地いい。
この声は間違いなくCyanだ。絶対そう。何度も聞いたんだ。あの、Cyanがここにいる。
歌い手界隈の超新星、謎のベールに包まれているあの人物だ。どうして?何でだ?
ん?
耳を澄ますとエレキギターの音が聞こえてきた。
♬~♪♬♪ー!!!!
ナツ⁉
このギターソロの特徴、タッピングのキレ。ナツの演奏だ。
…どういうことだ。
歌声は確かにCyanだ。これは間違いない。
でも、ギターの音がナツと一緒。ということは……。
ナツの正体がCyan……?
すぐ向こう側にいる。
会いたい。
直接聞きたい。
見たい。
聞きたい。