左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
そもそも地属性は役立たずではないし、レベッカに厳しくいろいろと言ったのは、素行の悪さを注意したからだ。
最近では気に入らないメイドに火をつけようとした。許されることではない。本人にはきつく注意したし、神殿に彼女の魔法を封印するように進言した。レベッカはそれを恨みに思ってコルネリオをたきつけたのか。
「もはやお前など姉ではない、早く王宮から出て行け!」
「あなたにその権限はありませんよ」
まっとうな反論に、コルネリオは一瞬、つまる。
兄のジルベルトは頭がいいというのに、この男と来たら。末子で父に甘やかされたせいなのか生まれついてなのか。
ばたばたとジルベルトが走って来た。誰かが知らせてくれたのだろう。眼鏡をかけた理知的な顔に、今は焦りがある。
「なにをしている!」
兄の険しい顔に、コルネリオは怯んだ。
「なにって、断罪を……」
「フェデリーカがなにをした?」
じろりとにらまれ、コルネリオは首をすくめた。
はあ、とジルベルトは息をついた。
「皆様、お騒がせして申し訳ありません。弟がちょっとしたいたずらをいたしました。場を盛り上げようとしてのこと、どうかお許しくださいませ」
ジルベルトが優雅にお辞儀をして、フェデリーカもそれにならった。
「いたずらか」
「驚きましたわ」
「お芝居をされましたのね」
人々が口々に言いながら、拍手をする。コルネリオがやらかすのは今に始まったことではないから、ジルベルトの言葉は受け入れられていた。
フェデリーカはほっとした。自分とて十七歳の乙女、変な噂はたてられたくない。もうすでに陰でいびり義姉と呼ばれているのは知っているが。
「お前たちは下がれ」
ジルベルトに言われ、コルネリオは悔しそうにフェデリーカをにらみ、レベッカとともに退出した。
「あいつのバカさ加減に磨きがかかってるな」
ジルベルトがぼそっと言う。
「どうにかなりませんかね……」
「無理だろうなあ」
遠い目をして、ジルベルトは言った。
最近では気に入らないメイドに火をつけようとした。許されることではない。本人にはきつく注意したし、神殿に彼女の魔法を封印するように進言した。レベッカはそれを恨みに思ってコルネリオをたきつけたのか。
「もはやお前など姉ではない、早く王宮から出て行け!」
「あなたにその権限はありませんよ」
まっとうな反論に、コルネリオは一瞬、つまる。
兄のジルベルトは頭がいいというのに、この男と来たら。末子で父に甘やかされたせいなのか生まれついてなのか。
ばたばたとジルベルトが走って来た。誰かが知らせてくれたのだろう。眼鏡をかけた理知的な顔に、今は焦りがある。
「なにをしている!」
兄の険しい顔に、コルネリオは怯んだ。
「なにって、断罪を……」
「フェデリーカがなにをした?」
じろりとにらまれ、コルネリオは首をすくめた。
はあ、とジルベルトは息をついた。
「皆様、お騒がせして申し訳ありません。弟がちょっとしたいたずらをいたしました。場を盛り上げようとしてのこと、どうかお許しくださいませ」
ジルベルトが優雅にお辞儀をして、フェデリーカもそれにならった。
「いたずらか」
「驚きましたわ」
「お芝居をされましたのね」
人々が口々に言いながら、拍手をする。コルネリオがやらかすのは今に始まったことではないから、ジルベルトの言葉は受け入れられていた。
フェデリーカはほっとした。自分とて十七歳の乙女、変な噂はたてられたくない。もうすでに陰でいびり義姉と呼ばれているのは知っているが。
「お前たちは下がれ」
ジルベルトに言われ、コルネリオは悔しそうにフェデリーカをにらみ、レベッカとともに退出した。
「あいつのバカさ加減に磨きがかかってるな」
ジルベルトがぼそっと言う。
「どうにかなりませんかね……」
「無理だろうなあ」
遠い目をして、ジルベルトは言った。