左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「数ある縁談には目もくれずに剣技を磨き、ばったばったと敵を倒し、その姿は青き風のごとし!」
「大袈裟な」
「興味わかないですか?」
「魔剣にはちょっと興味ある」
フェデリーカが言うと、キアーラは大きく息をついた。
「殿下も恋をなされば少しは女性らしくおなりでしょうに」
「なりたくないなあ」
フェデリーカは憂鬱に頬杖をついた。子供の頃から女の子らしくないと言われてきた。お転婆で、じっとしていられなかった。木に登ったり兄とチャンバラごっこをしたり、泥んこになって遊んだりして怒られた。
年頃になるとさすがにそれらは控えた。母のためにもおしとやかを心がけた。
またあの頃みたいに遊びたいな。
ぼんやりと、フェデリーカは思った。
伯爵の到着が告げられたのは、キアーラに着飾られてうんざりしているときだった。
彼が待つ部屋へと、しずしずと歩いた。どたどた歩くとキアーラがうるさいから。
侍女が来訪を告げ、扉を開ける。
中にいたのは、青みがかった銀髪の青年だった。その瞳もまた青。
風の色だ、とフェデリーカは思った。青なら水をイメージしそうなものなのに、彼には風しか感じなかった。早春のまだ温かくなりきらない風……と思ってから、なんか違う、と考え直す。あたたかな春だ。心地よい日差しの中を流れる癒しの涼風。
フェデリーカを見て、彼は微笑した。きりりとした涼しい目元が弧を描く。
「お待たせいたしました」
フェデリーカはおしとやかを心がけて告げた。
「まったく待っておりませんよ」
優しそうな声だった。
「お初にお目にかかります、エリゼオ・マルティノッジと申します」
彼がボウ・アンド・スクレープでお辞儀をするので、フェデリーカはカーテシーで返した。
「どうぞおかけになって」
フェデリーカが言い、二人はソファに向かい合って座った。
「わざわざご挨拶にいらしてくださり、ありがとうございます」
「この地を守備する者として当然のことでございます」
彼はにこやかに言う。
めんどくさい、と思いながらフェデリーカは笑顔を返した。
「大袈裟な」
「興味わかないですか?」
「魔剣にはちょっと興味ある」
フェデリーカが言うと、キアーラは大きく息をついた。
「殿下も恋をなされば少しは女性らしくおなりでしょうに」
「なりたくないなあ」
フェデリーカは憂鬱に頬杖をついた。子供の頃から女の子らしくないと言われてきた。お転婆で、じっとしていられなかった。木に登ったり兄とチャンバラごっこをしたり、泥んこになって遊んだりして怒られた。
年頃になるとさすがにそれらは控えた。母のためにもおしとやかを心がけた。
またあの頃みたいに遊びたいな。
ぼんやりと、フェデリーカは思った。
伯爵の到着が告げられたのは、キアーラに着飾られてうんざりしているときだった。
彼が待つ部屋へと、しずしずと歩いた。どたどた歩くとキアーラがうるさいから。
侍女が来訪を告げ、扉を開ける。
中にいたのは、青みがかった銀髪の青年だった。その瞳もまた青。
風の色だ、とフェデリーカは思った。青なら水をイメージしそうなものなのに、彼には風しか感じなかった。早春のまだ温かくなりきらない風……と思ってから、なんか違う、と考え直す。あたたかな春だ。心地よい日差しの中を流れる癒しの涼風。
フェデリーカを見て、彼は微笑した。きりりとした涼しい目元が弧を描く。
「お待たせいたしました」
フェデリーカはおしとやかを心がけて告げた。
「まったく待っておりませんよ」
優しそうな声だった。
「お初にお目にかかります、エリゼオ・マルティノッジと申します」
彼がボウ・アンド・スクレープでお辞儀をするので、フェデリーカはカーテシーで返した。
「どうぞおかけになって」
フェデリーカが言い、二人はソファに向かい合って座った。
「わざわざご挨拶にいらしてくださり、ありがとうございます」
「この地を守備する者として当然のことでございます」
彼はにこやかに言う。
めんどくさい、と思いながらフェデリーカは笑顔を返した。