30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
悔しい気持ちを押し込めて美加はパスタに手をのばす。
少し泣いて落ち着いたことで食欲は戻ってきていた。

「昨日のテレビ見た?」
麻子がテレビの話題を出してきたのはトイレで聞かされていた計画の通りだった。

『いい? 私がテレビの話題を振ったら魔法を使うの』
『うん、わかった』

「見たよ、面白かったよねぇ」
美加は返事をしながら大翔の座っている席へ向けて念を送った。

倒れろ!

次の瞬間カタンッと音がして、ついで女子社員たちの「キャア!」という甲高い悲鳴が上がった。

大翔が立ち上がり「うわぁ」と顔をしかめる。
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