30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
「そうでもないよ? ただ、こうして会話してたら気分転換になるってだけで」
「それで午後からまた頑張るんですよね? やっぱり、かっこいいです」

つい『カッコイイ』という言葉が口をついて出てしまって美加は慌てて自分の口に手を当てる。
けれど大翔はあまり気にしている様子もなく、定食を食べ終えてしまった。

「それじゃ、僕はお先に」
軽く手を振って食堂を出ていく大翔の後ろ姿を見送って、美加はふぅと大きくため息をついた。

これだけ長い時間大翔と会話したのは初めての経験で、さすがに疲れてしまった。
「あ~あ、このタイミングで連絡先を聞けばよかったのに」

横から麻子がふくれっ面を浮かべる。
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