30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
そのすきに美加がスッと割り込んで大翔の前に移動した。
「ちょっと、あんた……!!」

3人衆が文句を言う好きも与えなかった。
こけそうになった大翔を両手で抱きしめるようにして支える。

互いの体温をしっかりと感じることのできる距離。
大翔の吐息が美加の前髪をくすぐる。

「あ……。ごめん!」
我に返った大翔が慌てて美加から離れる。

美加の顔は案の定真っ赤に染まっていたけれど、それと同じくらい大翔の顔も赤くなっていて、3人衆が「ヒッ」と小さく悲鳴を上げて青ざめた。

「私こそ、ごめんなさい。稲尾さん、靴紐が……」
「あぁ。いつの間にほどけたんだろうな」

ふたりのなんとなく甘い時間が過ぎていく。
3人衆は同じ空間にいるのに冷たく、氷ついたままなのだった。

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