30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
相手は美加の名前を呼んだけれど、そのときに胸のネームを見ていたことはバレバレだ。
上司は禿げた頭まで真っ赤になっていて、口からはアルコールの匂いがしてきている。

こんな場所で酔っ払うなんて。
呆れながら上司の横を通り過ぎようとしたときだった。

突然腕を掴まれて引き止められていたのだ。
「なんですか?」

「もう少し話をしようよ。僕がいなかったら、羽川くんは入社できてなかったかもしれないんだからさぁ」

腰をくねらせる姿がなんとも気持ち悪い。
言っていることだってどうせ適当だ。
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