30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
美加の名前だって覚えていないくせに、よくそんなことが言えたものだと呆れる。
「離してください」

「いいじゃんいいじゃん。君、彼氏いるの?」
それは美加にとって聞いてほしくない話題のひとつだった。

彼氏。
恋人。
初体験。

周りがどんどん経験していく中で、自分だけが取り残されてきたこと。
思わずカッとなって禿頭を殴ってしまいそうになったときだった。

「そのへんにしておいたらどうですか?」
男子トイレが開いて出てきたのは大翔だった。
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