30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
☆☆☆

それから何年も経過して、今ようやく美加は自分の恋心を知り、大翔に接近を試みるようになっていた。

初めて出会ったときにはカッコイイ人だなぁと思ったくらいだったけれど、まさかこんなにこじらせるなんて思っていなかった。

自分だって自然と誰かと結婚して、子供を産んで、麻子みたいに復帰したりして、過ごすことになると勝手に思っていた。

それが、30歳処女の魔法使いになるなんてね……。
ほろ苦い思い出を胸の中に蘇らせながら仕事をしていると、いつの間にか5時が回っていた。

主婦である麻子は「先に帰るね」と、美加に声をかけてそそくさと出ていってしまった。
こういうときに残業を頼まれるのは独り身の美加とか、仕事大好き人間の先輩とかだ。
< 123 / 237 >

この作品をシェア

pagetop