30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
胸元にかかった水に店員が慌てふためきタオルを取りに走る。
「大丈夫?」

大翔が咄嗟の行動でおしぼりを手に取り、美加の胸元へ押し当てていた。
もちろんこの行動に深い意味はない。

胸元を拭いてくれようとしていただけだ。
だけど大翔の指先が美加の胸の膨らみを感じて、一瞬硬直した。

「ご、ごめん!」
美加の胸に触れてしまった驚きて固まっていた大翔が真っ赤になって手を引っ込める。

美加も顔を赤くしながら左右に首を振った。
「大丈夫です。ありがとうございます」

ペコペコとお互いにお辞儀をしながら謝罪と礼を繰り返し、目を見交わせてプッと笑い出した。
今の光景を客観的に見てみたら、とても滑稽だったことだろう。

やがて店員がタオルを持って戻ってきて、事なきを得たのだった。
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