30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
つまり、ここでも麻子が言っていた『初なところ』というものが役立つのだ。

他の子たちと違って恋愛経験が全く無い美加の反応はどれもが新鮮に写っているかもしれない。

「って、言われてもね……」
正直自分にはなにがいいのかよくわからない。

30歳まで処女を貫いただけなのだから。

美加が1人でそんなことを考えながら廊下を歩いていると、偶然大翔が向こうからこちらへ向けて歩いてきた。

相手も美加に気がついて視線を合わせる。
今では社内で偶然会うと軽く立ち話をする関係になっていた。

もう、名前を覚えてもらえていないいち社員という立場じゃなくなっている。
今日も挨拶をしようと口を開きかけた、そのときだった。
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