30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
大翔の横を強引に走り抜ける男性社員の姿があった。
その人はひどく急いでいるようで、大翔にぶつかったことにもきがつかずに走り去る。

ぶつかられた方の大翔はどうにかこけないようにふんばり、美加は咄嗟に両手を伸ばしてその体を支えようとした。

けれど、大きく軸のずれた大翔の体はそのまま倒れ込み、美加ももちろんその体を支えきることができなくて、お互いに倒れ込んでしまったのだ。

「いてて……羽川さん、大丈夫?」
声をけてくれる大翔へ向けて『大丈夫です』と答えようとした時、右足に強い痛みが走った。

倒れたときに一番衝撃を受けた場所だ。
顔しかめて青ざめる美加に大翔が慌てた様子で立ち上がった。
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