30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
ふいに、昔見た恋愛ドラマを思い出した。

それは学校の先生と生徒という禁断愛で、ふたりは放課後になると保健室にしのびこんで愛を語り合っていた。

やがてその時間は濃密になっていき、ついにふたりは保健室のベッドで……。
「包帯があった」

その声に美加は我に返った。
ここは学校の保健室ではなく、会社の医務室だということを忘れてしまうところだった。

大翔が包帯と、パイプ椅子を持って近づいてきた。
「右足をここに乗せて」

パイプ椅子を指差して言われて美加は慌てて「本当に大丈夫ですから」と、左右に首をふる。
少し待てば医務員さんだって戻ってくるはずだ。
< 154 / 237 >

この作品をシェア

pagetop