30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
初デート
本当に脱処女が近いんじゃない?
そんな麻子の茶化しを聞き流した翌日のことだった。

「足は大丈夫?」
出勤してきた美加のところにわざわざ大翔がやってきて声をかけてくれたので、デザイン部はざわついた。

「だ、大丈夫です」
嬉しさと恥ずかしさで声を上ずらせて答える美加にみんなからの視線が集まっている。

だけどその中に妬みとか嫉みといった嫌な感情のものはなく、ただ好奇心だけを感じることができた。

いつの間にとか、どうやって仲良くなったんだろうとか、そんな疑問がみんなの中にうずいまいているようだ。

「よかった。メッセージを送ろうかとも思ったんだけど、迷惑になったら嫌だから、出勤してからの方がいいかなと思って」

「そんな! 迷惑なんかじゃないです!」
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