30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
「ポップコーン買う?」
大翔が売店へ向けて歩きながら聞いてきた。

「いいですね! 私キャラメル味が好きです」
映画館といえばポップコーンだ。

バケツサイズの巨大な入れ物に山盛りポップコーンを入れてもらって、ふたりで食べるなんて夢みたい。

「でも、なんで映画館で見る時ってポップコーンなんでしょうね」
昔からそうしていたからなんとなくそうしているだけで、深く考えることはなかった。

「食べたときに音が出にくいとか、匂いとか色々あるけど、結局はポップコーン業界の策略勝ちだったんじゃないかな」

「策略勝ち?」
そんなふうに考えたことがなくて美加がまばたきをする。
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