30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
そんなふうに思うことは決しておこがましいことでなかったようで、映画の次に向かったレストランで事件が起きた。

「ここ、高いんじゃないんですか?」
大翔が予約してくれていたレストランは普段美加が絶対に入らないようなところだった。

正装はしなくていいものの、店の中に入った瞬間ピリッとした緊張感もある空気を肌で感じる。
席へ通されたときにはすでに緊張で少しだけ汗をかいていた。

「そうでもないから、大丈夫だよ」
向かい側に座る大翔はにこやかにそう言うけれど、どう見ても高そうだ。

ついキョロキョロと周囲を確認してしまう。
メニュー表を見ても値段は書かれていないし、なにを注文すればいいかわからない。

結局シェフのおまかせコースというものになってしまった。
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