30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
かしこまったレストランに来ることは年に何度もないので、背筋が伸びる。
一方の大翔はこのお店に来慣れているようでリラックスした様子だ。

「ここ、高いんじゃないんですか?」
こそっと質問してみると「ここはまかせて」と、大翔がウインクしてきた。

映画代まで払ってもらったのに、食事代まで任せるわけにはいかない。
せめて自分の分だけでも払いたいと思っていたときに料理が運ばれてきた。

最初の方は緊張で料理の味もよくわからなかったけれど、大翔と会話を続けているとだんだん緊張も解けてきた。

大翔は遠くから見ていたときに感じていたよりもずっと気さくで、人懐っこいタイプの人らしい。
こうした食事の席では相手を飽きさせないように、自分の子供時代の話をずっとしていてくれる。
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