30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
☆☆☆

ホテルのレストランから見た夜景は格別のものだった。
観覧車の中から見るのも素敵だけれど、おいしい食事をしながら見る夜景もいい。

「いい景色だね」
大翔に言われて美加は「はい」と頷く。

初めてのデートというわけでもないのに、今日の美加はその時以上に緊張していた。
せっかくだから料理をしっかりと楽しみたいと思うのに、味がよくわからない。

ただ、大翔がつぶやく料理の感想に合わせて頷くだけだった。
「今日はもう部屋に行こうか」

デザートを食べ終えてすぐに言われて美加が「えっ」と言ったきり黙り込んでしまった。
食事が終わってすぐに部屋へ行くとは思っていなかった。
< 196 / 237 >

この作品をシェア

pagetop