30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
☆☆☆
夜に砂浜を歩くなんて初めての経験だった。
しかも隣には大好きな大翔がいる。
大翔は美加の手をしっかりと握りしめていて、離すまいとしているように感じられた。
波の音を聞きながら歩く砂浜は心地よくて、ずっとここにいたい気持ちにさせられる。
「あの。ホテル取ってもらってありがとうございます」
食事についてもそうだ。
大翔はいつでもすぐに財布を出してくれる。
美加のお給料では厳しいとわかっているからだろう。
「勝手に取ってごめんね? 美加ちゃんがどう思うか聞こうと思ったんだけど……」
そう言って頭をかく。
それでも美加に相談をしなかったのは断られるのが怖かったからだという。
そんな可愛い一面もあるのだと思うとつい笑ってしまった。