30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
屋上にやってきた大翔はフェンスにもたれかかってカ缶コーヒーの蓋を開けた。
気分転換にやってきたみたいだ。

「私、戻ってるね」
気をきかせたつもりなのか麻子がそそくさと文房具を片付けはじめた。

「そこまで気にしなくていいのに」
でもふたりきりになれることは嬉しいかも。

なんて思っていたとき、またチンッとエレベーターが到着する音が聞こえてきた。
下りてきたのは事務の制服を来た女性社員二人組だった。

ふたりは手にジュースの缶を持っていてキャアキャア談笑しながら下りてくる。
屋上が一気ににぎやかになった。

と、そのときだ。
< 207 / 237 >

この作品をシェア

pagetop