30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
「あのねぇ美加、ここは中学校じゃないんだから。狙ってる子はもっと大胆に行動してるよ? 間接キスくらいで騒いでるのはあんたくらいだって」

「え、そ、そうなの?」
美加は目をパチクリさせる。

けれど言われてみれば確かに、稲尾に話しかけている女子社員たちは多い。
あれは仕事の話をしているんじゃなくて、稲尾にアプロートしているのだと今更ながら気がついた。

「なんだそうなんだ……」
間接キスで喜んでいた気持ちが一気にしぼんでいく。

自分がモタモタしている間にみんなは稲尾に近づいていた。
それが事実として胸に突き刺さってくる。

「好きなら自分からガンガンいかなきゃ」
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