30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
その顔はすでにニヤついている。
心の準備もできないままに大翔に出会ってしまった美加は一気に鼓動が早くなる。

「ありがとう」
大翔がふぅと大きく息を吐き出してハンカチで汗をぬぐう。

駐車場からここまで走ってきたんだろう。
大翔の呼吸音がすぐ近くにあって美加の鼓動は尚更早くなってきた。

緊張で表情も引きつってしまう。
「稲尾さんは同じ階で大丈夫ですよね?」

「あぁ、ありがとう」
麻子へ向けた微笑みを見ただけで頭がクラクラしてきてしまう。

朝からこの爽やかな笑顔を見ることができるなんて、なんてラッキーなんだろう。
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