30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
そう思って呆けてしまっていたところで、麻子が腰をつんつんつついてきた。
目だけで『チャンス!』と、合図してくる。

美加はゴクリと唾を飲み込んで頷いた。
麻子以外の誰かに見られる心配もないし、もし失敗しても麻子がいる。

そう思うと心強い。
美加はポケットから拾ったペンを取り出した。

「あの、稲尾さん、これ」
「え? あぁ、昨日落としたんだっけ」

大翔はペンを落としたことをすっかり忘れていたようで、パッと顔を輝かせた。
「拾ってくれてありがとう」

美加の手からペンを受け取り、言う。
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