30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
「稲尾さんの反応、どうだった?」
「どうって……よくわからないけど、コーヒーメーカーが直って喜んでたよ」

「コーヒーメーカーのことはどうでもいいよ。美加のことでなにかなかったの?」
グイグイと質問してくる麻子に美加は先程の出来事を思い出す。

きっと他の人からすれば取るに足らない出来事。
だけど自分にとっては心躍る素晴らしい時間だった。

「たぶんだけど、名前を覚えてもらえたかも」
まだ自信はなかったけれどちゃんと自己紹介はできた。

それに、もしかしたら美加がコーヒー好きだということも、相手の記憶に残ったかもしれない。
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