優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「夜永……郁斗?」

 すると、樹奈の口から出た郁斗の名前に迅は反応を示す。

「どうしたんすか? その郁斗って人、迅さんの知り合いなんすか?」
「……ああ、ちょっとな。そうか、郁斗か……。情報ありがとな、泰」
「いえ、どういたしまして」
「早速、挨拶でもしてくるかぁ、おい、行くぞ」

 ソファーから立ち上がると、樹奈の手を掴んだ迅。

「え? い、行くって、何処へ……?」
「決まってんだろ? 郁斗を呼び出せ」
「え? 郁斗さんを?」
「ああ、すぐに連絡しろ」
「で、でも……」
「でも、じゃねぇんだよ。俺が言ったら口ごたえすんな。やれと言ったらやれ。それとも、痛い目見ねぇと分からねぇか?」
「…………っ、わ、かりました……」

 迅は青色短髪ジェットモヒカンスタイルで、首から鎖骨にかけてと右手に蛇の刺青があり、更には角度のついた眉と睨むような鋭い目力から威圧的に感じ、逆らえない雰囲気を醸し出している。

「あー、俺だ。これから出掛けるから車回してくれよ。ああ、いつもの店だ」

 樹奈に郁斗を呼び出させた迅は誰かに電話を掛けると店まで車を回すよう頼み、樹奈が電話を掛け終えると再び彼女の腕を掴み、共に階段を上がって店の外へ出た。
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