優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
STORY5
残された詩歌と美澄の間に、気まずい空気が流れている中、
「……あの、詩歌さん……」
俯いたまま何も話をしない詩歌を前に落ち込んでいるんだと思った美澄が慰めようと名前を呼ぶと、
「……美澄さん、お願いします! 郁斗さんのところへ連れて行ってください!」
顔を上げた詩歌は、美澄に自分を郁斗の元へ連れて行って欲しいと頼み込む。
「え? いや、それは駄目です! 詩歌さんを家から出すなって言われてますし」
「お願いします! だって、樹奈さんはきっと私のせいで誰かに脅されているんです。そんな気がするんです。もうこれ以上、私の事で誰かに迷惑は掛けたくないんです。だから……」
美澄の心は揺れていた。待機を命じられているけれど、本当は傍に付いて自分も郁斗の役に立ちたいから。
「……分かりました、その代わり、俺の傍から絶対離れないでください。あくまでも、車の中から様子を窺うだけですよ? それでいいなら、小竹に場所聞きます」
「はい、約束します。勝手な行動は取りません」
結局、郁斗の元へ行きたい思いが同じだった二人は危険を承知の上でマンションを後にする。
そしてその頃、美澄と詩歌が自分たちと同じ場所へ向かっているなど夢にも思っていなかった郁斗は、小竹と共に指定された場所へやって来ていた。
「……あの、詩歌さん……」
俯いたまま何も話をしない詩歌を前に落ち込んでいるんだと思った美澄が慰めようと名前を呼ぶと、
「……美澄さん、お願いします! 郁斗さんのところへ連れて行ってください!」
顔を上げた詩歌は、美澄に自分を郁斗の元へ連れて行って欲しいと頼み込む。
「え? いや、それは駄目です! 詩歌さんを家から出すなって言われてますし」
「お願いします! だって、樹奈さんはきっと私のせいで誰かに脅されているんです。そんな気がするんです。もうこれ以上、私の事で誰かに迷惑は掛けたくないんです。だから……」
美澄の心は揺れていた。待機を命じられているけれど、本当は傍に付いて自分も郁斗の役に立ちたいから。
「……分かりました、その代わり、俺の傍から絶対離れないでください。あくまでも、車の中から様子を窺うだけですよ? それでいいなら、小竹に場所聞きます」
「はい、約束します。勝手な行動は取りません」
結局、郁斗の元へ行きたい思いが同じだった二人は危険を承知の上でマンションを後にする。
そしてその頃、美澄と詩歌が自分たちと同じ場所へ向かっているなど夢にも思っていなかった郁斗は、小竹と共に指定された場所へやって来ていた。