優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「……とにかく、黛は何をするか分からねぇ……。早いところ救出してやらねぇと……」
「分かってるが、焦っても仕方ねぇんだよ。ただ、今回の件は神咲会を通して多々良会にも話を通してもらった。前から黛には手を焼いていた事もあって、今回俺らに協力してくれる事になった」
「マジっすか?」
「ああ。直に多々良会の方から正式に何らかの通達があるだろう。これで黛組は多々良会の後ろ盾が無くなるからな、動きづらくはなるだろうよ」
「……恭輔さん、俺、やっぱりただ待つだけってのは無理だ。独自で捜索させて欲しい」
「お前な、彼女を心配な気持ちは分かるが、怪我も治ってねぇんだ。暫く俺らに任せておけ」
「いや、恭輔さんの命令でも、それは聞けない。一刻も早く詩歌を助けたいんだ。頼むよ……」

 恭輔が各方面に協力を仰ぎ、着実に黛を討つ準備が整いつつあるものの、このままただ待っているだけという状況が歯痒い郁斗は自ら捜索したいと申し出る。

 今ここで無理をすれば郁斗の身体に負担がかかる事を心配していた恭輔だったが彼の熱意に負け、

「……ったく、言い出したら聞かねぇ奴だな、お前は。美澄、小竹、郁斗のサポート頼んだぞ」

 郁斗が無理をしないよう美澄や小竹をサポートに付けた恭輔は、郁斗が独自で詩歌を捜索する事を許可したのだった。
< 122 / 192 >

この作品をシェア

pagetop