優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
STORY7
「…………ん、」

 気を失っていた詩歌は、どこかの部屋のベッドの上に寝かされていた。

(……何で、こんなところに?)

 目を覚まし、特に拘束されている訳でもなく、ただベッドに寝かされているという状況に驚くと同時に、気を失ってからどのくらいの時間が過ぎたのかという事が気掛かりだった。

(……ここ、どこなんだろう?)

 辺りを見渡すも人の姿は無く、誰かの部屋だという事だけが分かる。

 立ち上がり部屋のドアノブに手を掛けるも、流石に鍵は掛けられていたので部屋の外へ出る事は出来なかった。

(……郁斗さん……大丈夫かな)

 黛が彼を殺したと言った時、詩歌は深く絶望した。

 巻き込んでしまったせいで、何故彼が殺されなければならなかったのだろうと自分を責めた。

 けれど、彼は生きていた。

 それを知った時はもの凄く嬉しかったし、すぐに会いたいと思った。

(……郁斗さん……会いたい……)

 勿論今も会いたくてたまらないけれど、そんな事を望むのは間違っていると分かっていた。

(……だけどもう、私は郁斗さんたちと関わっちゃ、いけない)

 自分に関わってしまえば、皆不幸になってしまうのだから。
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